
Ⅰ. 介護施設の種類と特徴|目的別に理解する
介護施設には複数の種類があり、それぞれ目的・対象者・費用が異なります。主な施設を以下の表にまとめます。
| 施設名 | 特徴 | 対象者 | 費用目安 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 公的運営・終身入居型。介護度が高い人向け。 | 要介護3以上 | 月8〜12万円 |
| 介護老人保健施設(老健) | リハビリ中心。自宅復帰を目指す短期滞在型。 | 要介護1〜5 | 月7〜10万円 |
| 有料老人ホーム | 民間運営。介護・生活支援・娯楽が充実。 | 自立〜要介護 | 月15〜30万円 |
| グループホーム | 少人数の認知症高齢者が家庭的に暮らす。 | 認知症診断者 | 月12〜16万円 |
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 自立・軽介護向け賃貸住宅。見守りサービス付。 | 自立・要支援 | 月10〜20万円 |
施設の選択は、「介護度」「医療体制」「費用負担」「生活環境」の4つの軸で判断します。
特養は待機者が多く、有料ホームは費用負担が大きい点を考慮しましょう。
Ⅱ. 介護施設の選び方ステップ|後悔しないための5段階
- 1. 介護度を確認する:要介護認定を受け、介護保険証で区分を確認します。
- 2. 希望条件を整理する:「場所・費用・医療体制・居室タイプ・家族の距離」などを優先順位化。
- 3. 候補施設をリストアップ:自治体・ケアマネ・地域包括支援センターに相談。
- 4. 現地見学・体験利用:清潔感・スタッフ対応・食事・安全設備を必ず確認。
- 5. 契約内容を精査:退去条件や追加費用を明確にし、家族で合意を取る。
施設選びで最も重要なのは「現場を見ること」です。写真やパンフレットだけでは分からない雰囲気・対応力を、見学を通じて感じ取ることが成功の鍵です。
Ⅲ. 見学時に確認すべき10のポイント
見学は「雰囲気」だけでなく、以下の客観的チェック項目を意識しましょう。
- ① 施設内の清掃・匂い・安全設備
- ② 職員の表情・言葉づかい・勤務年数
- ③ 入居者の様子(表情・交流の有無)
- ④ 食事の内容・栄養バランス・選択制
- ⑤ 医療体制(提携病院・緊急対応)
- ⑥ 夜間スタッフ体制・見守り頻度
- ⑦ 居室の広さ・採光・トイレ・バリアフリー設備
- ⑧ 料金表・追加費用・退去時の扱い
- ⑨ 家族面会・外出制限の有無
- ⑩ 苦情対応・運営方針の透明性
複数施設を比較する際は、チェックリストをスプレッドシート化して点数をつけると判断が明確になります。
Ⅳ. 費用の目安と利用できる補助制度
施設費用は、「入居一時金」「月額費用」「介護保険自己負担」「医療・消耗品費」で構成されます。
- 特養:入居一時金なし/月8〜12万円
- 老健:医療・リハビリ費込みで月7〜10万円
- 有料ホーム:入居金0〜1000万円/月15〜30万円
- グループホーム:月12〜16万円(食費・光熱費込み)
介護保険・高額介護サービス費制度・医療費控除を組み合わせることで、実質負担を軽減できます。
ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、制度を最大限活用しましょう。
