財政難の京都市に大きなダメージ、最大で約96億円損失
データ処理システム訴訟判決、さらに膨張の懸念
システム刷新遅れた京都市と委託業者、双方に支払い命じる 東京地裁
福祉や税などの基幹業務に使うシステムの刷新が遅れた京都市が、
委託先のIT企業に損害賠償など約36億円の支払いを求めた訴訟の
判決が29日、東京地裁であった。
地裁はIT企業側に約4億9千万円の支払いを命じた一方、企業側が求めた
作業代金の支払いについても一部を認め、市に約1億円の支払いを命じた。
京都市は、1986年に使い始めたシステムを2014~17年度に
約94億6千万円かけて刷新する計画を立てた。
IT企業「システムズ」(東京都品川区)に開発の一部を約11億円で発注したが、
開発が遅れたため17年10月に契約を解除。
支払った代金の返還や損害賠償を求めて提訴した。
システムズ社も作業代金など約9億円の支払いを求めて提訴していた。
市は「市の主張が一定、認められたと認識している。
判決内容を十分に確認した上で、対応を検討したい」とし、
システムズ社側は「判決の内容を精査して対応したい」としている。
現在も京都市のシステム自体は刷新できていない。
市は別の業者を選定して開発を進め、一部は20年1月に稼働予定だったが再び遅れが発生。
その後、国が全国の自治体のシステムの仕様を統一する方針を示したため、市独自の
システム開発を断念した。改めて、国が示した仕様に沿う形で開発している状況だ。
市によると、システムの刷新のための調査費などを含めて約116億7千万円を投じた。
すでに稼働したシステムの効果などを差し引いた市の損失は最大で99億9千万円になるとしている。