物価高騰で広がる子どもの食糧不安 ― 日本の家庭が直面する現実

物価高騰で子どもの食糧不安が増大

物価高騰による“子どもの食糧不安の深刻化”について、
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)の調査から
最新の状況を深掘りしてご説明します。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)の
最新調査概要(2025年6月実施)


食事量・栄養の確保が難しくなっている実態

2025年6月、低所得世帯(過去にSCJの支援を受けた家庭)
7,856世帯を対象に調査を実施。


子どもの朝食・昼食(学校給食あり・なし)・夕食について、
食事量が「十分でない/どちらかというと十分でない」と
回答した家庭が前年より増えています。


特に、学校給食がない期間の昼食については、前年より8.8ポイント増加し、
“不十分”と答えた割合が 54.5% に上昇。

これは、給食があるとき(7.7%)の7倍にもなります。

 

 

食材選び・食事内容の変化


朝食と夕食においても、「十分」と答えた割合がそれぞれ
11.6ポイントおよび11.8ポイント低下。

全体的に食事量が減っている傾向です。

 

特に目立つのが、 白米の消費頻度が減少(76.2%の家庭が
「減った/多少減った」と回答)および 魚・肉の摂取が
減少(65.4%の家庭が「減った/多少減った」。


日常的にタンパク質を摂る機会が大幅に減っています。

 


家計への影響の深刻化

調査対象全体では、90%以上の家庭が「十分な食料を買うお金がない」と回答。

さらに、80%以上の家庭では子どもの体重減少や集中力の低下など、
健康に悪影響が出るのではとの懸念が報告されています。

 

SCJはこの結果を基に、厚生労働省やこども家庭庁に対して
「公的な食糧支援の整備・拡充」など 4つの提言 を提出するとともに、
国会議員や関係省庁に対して問題解決を働きかけています。

 

他団体の調査結果も併せて紹介

グッドネーバーズ・ジャパンの調査(ひとり親家庭対象)


2025年2月実施の調査では、ひとり親家庭(「グッドごはん」
利用者)2,345名を対象に実施。

「米・肉・魚・野菜の購入が『非常に困難』『やや困難』」と
答えた人は 約90% にのぼります。

 


また、「空腹を満たすのに十分な食事を一度も準備できない頻度」が
“週2〜3日程度”や“ほとんど毎日”という回答が 14.2%。


「主食・主菜・副菜すべてそろった食事を一度も準備できない頻度」は
28.3% に及び、栄養バランスのある食事すら欠けがちである実態が
浮き彫りになっています。

 

さらに、2025年6月の調査では、長期休暇中に子どもへ十分な食事を
用意することが難しいと答えた人が約90%。その結果、親自身が
食事を削ったり、子どもの食事回数が1日2回以下に減少したり
するケースも見られます。

 

なぜこのような状況になっているのか?

学校給食の重要性

学校給食は栄養バランスを整えるうえで重要な役割を担っています。

給食のある日は子どもの食事の“最後の砦”となることが多いのですが、
長期休暇中(夏休みなど)はその支援がなくなり、家庭での負担が
一気に高まります。

 

物価高騰の深刻さ

食料品価格の上昇が家計を直撃し、少しでも支出を抑えるためにごはんや
魚・肉などを削らざるを得ない家庭が増えています。

これにより、子どもの食事量・質ともに低下し、
健康や発育への悪影響が懸念されています。

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